リア充お嬢様は 手ごわしvv
         〜789女子高生シリーズ・枝番
 



     2



風こそ少し冷たいものの、陽差しは明るくて
ずっと浴びていればじんわりと暖かくなりもするほど。
そんないいお日和の中、
特に大きく声を張るではないながら、
所作も品よく楚々としたそれのまま、
お友達と朗らかに語らい合いつつ歩んでおいでの
二人のお嬢様がた、これありて。

 「あら、ビオラの鉢があんなにも。」

いかにも春の話題、唄うように口にして笑ったのが、
ほんのり蜜をくぐらせたような
甘い栗色がかった、だが、お手入れのいい黒髪なのを。
所謂 天然パーマ、ふわんとしたくせっ毛なのも愛らしいまま、
細っこい肩やら背中やらまで届かせての、降ろしておいでのお姉様。
前・保健委員長の道明院 聖子様とおっしゃって、
お行儀やお作法は勿論のこと完璧だし、
うっかりと指先を切りました、
貧血を起こしましたという生徒と遭遇したならば、
それはてきぱきと対処出来、
校医の榊せんせえからも“頼りになる”との太鼓判を押されておいで。
気立ても優しく、緊急時以外ではおっとりと鷹揚でいらっしゃり、
ただ傍にいて下さるだけで、癒しの何かを感じることが出来るほどとは、
最近では減ったがそれでも貧血を起こすことが多かった、
二年の紅ばら様こと 三木さんチのお嬢様からの貴重な評であり。
そんな聖子様と肩を並べ、一緒に駅までを帰る途中なのだろう、
もう一人のお姉様はというと。

 「…そうね。」

こちらは深みのある真っ直ぐの黒髪を腰まで垂らしておいでで、
白いお顔も、切れ長の双眸といい、堅い意志に引き締まった口許といい、
どこかシャープな印象がして何とも清冽な雰囲気のするお嬢様、
鷹巣遼子と仰せのお姉様で。
元は華族という由緒正しいお家柄に育ったお人なせいか、
日頃からあまり無駄話もなさらずの、それは静かなお方だが。
寡黙でありながら、されど気性は真っ直ぐで、
しかもそうそう簡単に譲らずという頑迷なところもおあり。
先生がたやPTAが相手であれ、
一方的なコトの運びへは断固として主張を曲げず、
そんな凛々しい頼もしさをもって、
下級生たちからは“宮様”つきで呼ばれておいでの御方であり。
あまりの無口さから取っ付きにくいと思われるせいか、
大勢と一緒に何かへ興じていらっしゃるようなお姿も稀ながら、
道明院様とは親友同士であらせられるか、
いつも仲良く一緒にいらっしゃり。
聖子様の屈託のない笑顔にほだされるものか、
時には希少な笑みを浮かべてしまわれるのを、
遼子様へのシンパシィたちから
“きゅーんすぱーく”なぞと呼ばれておいで。
(はい? どっかで聞いたぞ? さぁて…何のお話か)苦笑

 「……。」
 「あら、どうかなされました?」

美貌のみならず、その磨かれた所作や存在感もあってのこと、
お二人それぞれが間近となった春のお花のようであり。
通りすがりのご近所の方も、
あらあらと ついのこととて視線で追ってしまうほどの
そりゃあ別格な級のお嬢様がたではあったけれど。
女学園の基本校則、
通学に自家用車等使ってはならないというのを守ってだろう、
陽あたりのいい明るい道なり、
健やかにも徒歩で最寄り駅までを向かっておいでなのはいいとして。
今は微妙に春休み状態なため、
同じ道をゆく顔触れの中に、さほど制服姿のお仲間が見受けられず。
よって、紛れようもなくの一際目立っていらっしゃり、

 「…………っ。」

真っ直ぐな一本道の向こうから、突然飛び出して来た人影があり。
年格好からして、彼女らと大差ない高校生くらいの男子のようだったが、
スニーカーらしいのにその足音がばたばたうるさいのは
日頃から走り慣れていないのか。
カバンを斜め掛けしている吊り紐が、
ダウンだろうジャンパーへ食い込んでる様も妙に勇ましい恰好のまま、
だかだかだかだか…と駆けて来たその御仁、
止まる気配はないながら、だが、振ってた腕を片方だけ、
お嬢様たちのほうへと伸ばすと、
何やら…かざして見せたのが、判りやすいっちゃあ判りやすい。

 しゃりーん、きゃりーんという独特な音とともに、
 連写のシャッターが切られたのがありありしていて

 「………え?」
 「……なっ。」

思わぬ存在から、何の許可もないまま撮影されたの、
果たして気づいたか、そしてどう感じたお嬢様がただろうかと。
お気の毒なと思う反面、でもああまで麗しい方々だものと、
芸能人扱いになるのも仕方がないかもと、
他人ごとならではな見解が
丁度道に面していたお宅の奥様からこぼれかかった、
そんな一瞬の、通り魔的存在との邂逅…のはずが。

 「勝手に何をしてくれますかしらっ!」

先にお声を発したのは道明院様だったれど、
それより先んじ、手が出ていたのは鷹巣の宮様。

 「…っ? ふえぇ?!」

こうまで不意を突いた、まさに出合い頭だもの。
呆気に取られるばかりだったろうお嬢様二人を置き去りに、
疾風のように通り過ぎての立ち去れたはずが。
後ろ襟首をがっつりと掴まれていて、
がくんっと思い切りの反動つきで急停止させられていた盗撮の君こそ、
自分へ何が起きたのかも分からぬまま、
大きく目を剥いての、
それこそ呆気に取られている様子なのが滑稽でさえあったほど。
とはいえ、それも致し方ないことで。
男子高校生という、個体自体に馬力もある存在の、
しかも結構な速度での駆け足だったのだから。
手を延べたのが偶然にも触れたとして、加速のついた勢いには到底勝てず、
か弱いお嬢様ではせいぜい跳ね飛ばされるか引き摺られるか。
それが怖くて きゃあと手を放すのが関の山だろうと、
たとえ咎めたくてのアクションをされたとて、
歯が立つまいと甘く見ていたらしかったのだが。

 「…ったく、しょうもないデマに踊らされちゃって。」

唖然呆然をしているばかりな、見ず知らずの男子の人へ、
先程 彼がそうしたように、
しゃりーん・きゃりーんというシャッター音を響かせつつ、
トコトコという のんびりした歩調で近づいて来た人影が。
そちらもやはり、
規定のそれだろう濃色のフェミニンなAラインコートに
下には制服だろうという、
先に居合わせた二人と同じ女学園の、
生徒さんらしいいで立ちでおいでであり。

 「癒し系お姉様の道明院聖子様、
  ハートマークだからキュート系ですね。
  凛々しくて女王様属性の剣聖・鷹巣遼子様は、
  ダイヤモンドマークのクール系。」

手にしていたのはA4版のフルカラー小冊子。
その中の、付箋を貼った隣り合わせの見開きを開いて見せれば、

 「う…っ。」

急なストップに逆に引き倒されたような恰好で、
お嬢様たちの足元へへたり込んでしまった、盗撮の彼さんが、
ぐうと声を詰まらせ、慌てて見せる。

 「聖ユリアン女学園。
  数十人といる女生徒たちの中から、好みの彼女を見つけて、
  少しずつ親しくなろうという恋愛シュミレーションゲームですよね。」

画像担当の絵師さんたちも、
同人誌やラノベで評判の方々を揃えた充実のラインナップで、
それは愛らしい女子高生たちが、
様々なタイプ別、個性豊かに描き分けられているのだが。

 「ただのゲームなら罪はありません。
  たとえ、登場するお嬢様がたにモデルが居ようが居まいが、
  モバイルの中の彼女らとお話しするだけであるならば、
  単なるプレイヤーの方々には何の問題もないでしょうよ。」

広げられたページには、
くせっ毛がふんわり広がる甘い栗色の髪に、天使のような笑顔も神々しい、
ちょっぴりお姉様タイプの美少女が、
セーラー服の上へ白衣を重ね着したいで立ちで描かれてあって。
そのお隣りでは、
あまり表情はなく、つんとしたお顔の美少女が、
流れる黒髪を背中へ降ろしたまま、だが、剣道の道着を身にまとった袴姿で、
背後を見返るポージングで描かれている。
タッチも細密にして瑞々しい、図録のための特別カットであるらしく、
その同じページの下半分には、
初期モードから親密さが増すにつれ新しくなる、
モバイル版のトレカ画像とやらが3種類ほど、小さく刷り込まれており。

 「……。//////」

そちらの事情やファン心理なぞに理解がないかも知れない、
生身でリアルな女子高生たちに吊し上げられつつ、
デリケートでやあらかいところを晒されるのは さすがに居たたまれないか。
それとも…もしかして、
愛らしい最愛の君の“実写版”との思わぬご対面が照れるのか。
お顔を赤らめ、口許ももごもごとたわめておいでだった彼くんで。

  そう、問題なのは そこのところ。

 「ただ。これらのお嬢様たちには実在のモデルがいることが、
  とあるサイトの掲示板で取り沙汰されたんだそうですよね。」

TVCMが流れるほどではないながら、
こんなムック本まで出るほどに人気を博してしまったのは、
もしかして…製作サイドには計算外な事態だったのかも知れぬ。
個性豊かで愛くるしくキュート、
たといおてんば設定でも、
節度をわきまえたお行儀のよさや小癪さが利いていて、
どこか天使みたいな女の子たちには、実は実在のモデルがいて。
どういう手抜きをしているものか、実名のままで登場させていたもんだから、
そこへと気がついたユーザーがそんな事実をすっぱ抜き、
しかもしかも、

 「初詣でデートを成功させられたら
  バレンタインデーにチョコをもらえるとか、
  卒業式の後に特別アイテムのハンカチを渡せたら
  ほにゃららという展開になる、とか。
  そういった時事イベントとは別に。」

盗撮の彼が、仰天したはずみで仕舞い損ねていた携帯をひょいと取り上げた、
もうお判りですねの、ひなげしさんこと林田平八さん。
突然のこととて、眸を丸くしたお顔を撮られているかと思いきや、
お顔の間際でVサインを出している道明院様と、
いかにも呪いが籠もってそうな怖いお顔で睨みつけてくる
鷹巣の宮様のご尊顔とが、ブレもせずで無断撮影されていた写メだったの、
あらあらお上手と苦笑混じりに開いて見せつつ、

 「実際のお嬢様たちの生写真を撮って転送して来れば、
  特別クーポンをプレゼントなんていう、
  期間限定の課金サービスをしてるらしい…なんてデマが流れた。」

 「…………え?」

滔々と紡がれていた説明を、
やはりちゃんと聞いてはなかったらしい盗撮少年だったが、
デマという一言には、素早く反応したのがなかなかのもの。
この自分を引っかけたとは聞き捨てならぬと、
それこそちゃっかり世代ならではで、妙なところにスイッチがあったらしく。

“ちょっと考えたら、
 無断で、しかもこんな通り魔みたいな盗撮が
 褒められはしないことだってくらい判りそうなもんだろに。”

だっていうのに、
罪悪感もなく、ちょっとしたゲームのように やってのけたのも、
そういう善悪の価値観というか公序良俗のレベルというかが、
もはや常識外れなそれだったからかも知れぬ。

 「こんな不意打ちで勝手に撮影された画像、
  もっととんでもないことへ濫用されたらどうなるか、判ってる?」

 「………。」

難しいことは判りませんとでも言いたいか、
視線を逸らし、不貞腐れたようにそっぽを向いた彼だったのへ、

 「映像を送れと呼びかけた奴らがどういうつもりだったかは、
  今現在、警視庁の生活安全課や情報犯罪課、その他、
  関係筋の方々が取り調べ中なんだそうだけど。」

 「………え?」

警視庁のという語句には、またまたいい反応をした盗撮男子くんへ、

 「あんたが
  こ〜んな不愉快な犯罪起こした“愉快犯”の一味かどうかとか、
  悪気があったかどうかなんてのは、アタシたちにはそれこそどうでもいい。」

そんなお声を掛けたのは、向かい合ってたひなげしさんではなくて。
ボリューミーなふんわりくせっ毛の髪へ、
手を添えて引っ張ってすっぽりと脱いで見せた道明院様が
実は…金色の直髪がそりゃあ清楚な、
二年生ながら、白百合様と呼ばれておいでのお姉様、もとえお嬢様で。
片や、

 「………。」

こちらさんは直毛の黒髪をかなぐるように脱ぎ捨てると、
ふわんと軽やかな、やはり金髪があらわれて。
彼女もまた“クールビューティ”には違いないながら、

 「…あ、やっ、あのあのっ、もしかして激レアの紅ばらの君では。」
 「……っ

座り込んでいた低い位置からとはいえ、
あたふたしつつもこちらを指差して来た無礼者だったのへ。
今度こそ本心からむっかり来たらしき、三木さんチの久蔵様、

 「そも、遼子に目をつけるとは何事かっ!」
 「こらこら久蔵殿、呼び捨てにしちゃあ いかんいかん。」

ひなげしさんが制したのは“そっち”だけであり。
この痩躯からとは思えぬとんでもない膂力を発揮した紅ばら様が、
自分よりも背丈のある相手、
この野郎〜〜〜っと襟首掴み上げての立ち上がらせたのは、敢えての放置。
襟が詰まった型のジャンパーだったのが災いしたか、
掴んでた角度が思わぬ位置だったものか、

 「う…、くっ…。」
 「あらまあ。」

首が詰まっておりますよと、
意識不明にならんという直前でやっと、
おいおい久蔵殿と、注意したのは白百合さんだったそうであり。
そんなこんなでの“変装つき おとり捜査”の巻は、
学園周縁で一番執拗に撮影行為を続けていた、
こやつの捕獲で見事に完結、したのだけれど。

 『まったくはこっちの台詞だぞ、お主たち。』

今日のこのささやかな捕り物は、後片付けもいいところ。
盗撮された画像を送れとなってたURLも、
今は“利用者がいない、検出出来ません”となっており。
この子が利用しようとしても無駄だったことだろう。
そっちの輩たちが何を企んでいたものかは、
専従の大人たちに任せているのもホントの話。
ただ、

 『だって、学園の周辺に設置しといた防犯カメラに
  妙なカメラ小僧たちが映っていたんですもの。』

更衣室だのトイレだの、あからさまに怪しいところじゃあなく、
通学路のあちこち、なんて特徴のない通行中のお嬢様たちを、
こそりと撮影している青少年らが妙に増えた。
特に恥ずかしい姿じゃなくとも、勝手な撮影には違いなく。
とはいえ、自分たちと同世代ばかりというのが、妙に引っ掛かった、
防犯カメラを設置し、事実上の管理も負かされておいでの主幹こと、平八が、
女学園かかわりで妙な動きが起きてはいないかと、
ネットのいろいろな方面へクロス検索を掛けたところが、

 こたびの、トレカ系モバイルゲームがらみという
 秘やかながらも けしからぬ騒動が浮かび上がったものだから

キャラクターへの名前の無許可流用や、
無作法な盗撮だけでも腹立たしいのに、何ですか?
今度は 実物の映像を送ればクーポンを贈呈ですって?
ヲトメたちの姿や名前、勝手な流用をしたその上、
まだ何をしようってんでしょうかと。
制作サイドへ
正式な訴訟を構えておりますがいかがと、
ヲトメ代表として代表事務所まで乗り込んでの訴えたところ、

 そんなキャンペーンなんて覚えがないとのお話で。

 『こちらも寝耳に水で、皆して震え上がってたところです〜〜。』

なんて可憐な好物件()揃いかと、
ちゃっかりと姿や肩書の旨みだけをお借りしたお嬢様たち。
だがだが、親御さんたちが実は…名高い実力者や実業家、
政財界の大物ばかりらしいと、後で気づいたそちらの皆様であり。
いわゆる“えっち”な展開には進まないレベルのゲームだとはいえ、
ウチの娘を辱めおってと、
どんな圧力を掛けられるものか、ヒットと同時に気が気じゃあなかった。
今となっては、これ以上話題にならないでと祈るような気持ちでいたところへ、
ぽつぽつと届き始めたのが、
例の女学園のお嬢様たちの画像添付という、不可解なメールの数々で。

 『サイトも閉じます、
  出版物も回収しますから、どうかどうかご容赦を〜〜。』

 『はいぃ?』

最高責任者にあたる総監督さんの言うことにゃ、
最初のうちは、
思わぬヒットに嫉妬した同業者の嫌がらせかと思ってのこと、
そんなキャンペーンなんてやってませんと、
通り一遍なお返事だけで応じての突っぱねていたのだが。
ほんのつい先日、
とうとうと言うか、いきなりと言うか、
警視庁というこれ以上はない公式系、(こら)
お調べの筋の方が 任意ながらとはいえ話を聞きたいと言って来られて、
それでやっと、どんな現状かを知らされたばかりな主幹者たちらしい…とのことで。

 『…まったく、お主らの鼻はどうしてこういう話に鋭敏なんだ。』

分析のためにと提出していただいた資料を返しに来た、
島田警部補・佐伯巡査長たちだったのと、当該事務所で鉢合わせし、
どういう捜査となるか等々、そこいらのお話も聞けはした。
それによれば、
そんなデマ情報を流したついで、こっちへ送れとURLを出してた存在は、
当初はただ“引っ掛かりやがって馬鹿だよ馬鹿”と
送って来た奴を笑ってやるべえと構えていた連中だったらしいのだが。
届く写真がどれもこれも、ずば抜けて麗しいお嬢様ばかりだったため、
これはもしかすると、
トレカのイラストにしか萌えぬ層ではなく、
生身へこそ萌えるだろうアダルトな層に断然受けるぞという欲が出たようで。

 『そちらへは明日にも一斉検挙と運ぶから。』

だから、余計な騒ぎをしでかすことで、横槍は入れてくれるなと。
傍目からはどう見えたことなやら、
女子高生相手に妙なお願いをしていった、警部補さんであり。

 『あれで、ますますのこと、
  こちらの社長さんには
  “やばい相手だったんだ”との印象も強まったことでしょうね。』

警視庁の警部補格、
しかも見るからに辣腕そうな壮年警察官が
“頼むから”なんて口調で接してたんですものと。
ひなげしさんは楽しそうに にまにま笑い、

 『〜〜〜っ

横槍とはどういう意味かと、紅ばらさんがやや憤然としたお隣りで。
白百合さんは素直なもので、

 『やぁだもう。///////』

警察さえ平伏させるおっかない筋と思われたんじゃあと、
まずは頬を赤らめたものの。

 『なに、シチちゃんの通う学園だもの、
  日頃から監視しちゃあいるんだよ、勘兵衛様は。』

ほらご覧と、佐伯さんがこそり開いた攻略本のとあるページには、
属性キュート、やまとなでしこ系美声の聖女、草野七郎次という本名とそれから、
和装になると癒しパワーが増すという効果が記された、
そりゃあ愛らしくもご本人そっくりの萌えなイラストが、
綺麗なタッチで描かれて掲載されてあり。

 『なになに、レベルが上がると和風癒し系美少女になるが、
  アイテムのタイミングによっては鬼百合モードになる恐れもあり?』
 『ぬあんですってぇ?』

佐伯刑事としては、
このレアカードに育った“七郎次”が
勘兵衛の携帯の待ち受けになってたら笑えないかと
そういう方向へ話を持って来たかったらしいのだが、

  へ、平和よね、うんうんvv






   ● おまけ ●


何だか妙な設定にされていたのが業腹だったか、
本筋はどこへやらで、
笑い転げるお友達にも同じ感慨を味あわせたくなったらしい、
トレカでは 草野さんチの美声の聖女様。
自分が載っていたならば、
こうまでの美人さんもまた載ってないはずがないとばかり。
攻略本とやらのページを乱暴にめくってゆき、

 『ヘイさんはどうなんですよ。…あ、あった。』

星のマークはパッション系だそうで、
キュートな童顔ながら、実は胸が豊かな隠れ巨乳という、
意外性の読書美少女。
美術芸術方面へ育つといろいろ着込んでしまうが、
何故だか、モデルへ転身モードというのがあって…。

 『ビキニ姿なんて、何を資料にしたのやら。』

一番大きい、スペシャルイラストというのが、
選りにも選って、
ひまわり色の超ビキニではしゃぐ図だったもんだから。

 『ヘイさん、声が低いぞ。』
 『〜〜〜〜。』

ここまで落ち込む、もとえ怒るとは思わなんだか、
七郎次が久蔵と身を寄せ合うほど怯えてしまい。

 『効果は電撃、だって。』
 『どこで何を見たんだろう。』
 『こらこら、君たち何の話かな。』

ホンマやね。(笑)
佐伯さんが先に帰ってしまった警部補を恨みたくなったのをよそに、

 『こうなったら徹底させましょ、久蔵殿はどうなってますか?』
 『えっとぉ。』

お嬢様たちの好奇心はどこまでも発展するらしく。
……ゲームへ夢中になってる男子諸氏を、
とやかく言えないんじゃなかろうか、これ。

 『あ、あった。ダイヤモンドマークのクール系、
  無口なピアノ奏者で……』

 『???』
 『いやあの、えっとぉ。』

唯一あまり関心はなさげだったものの、
説明文を読むお声が途切れたことへこそ、
何だどうしたと小首を傾げた紅ばらさんだったが。

 『アンドロイド系宇宙人てのは、
  ちいとも褒めてはないよな気がしますが。』

 『いや、何てのかな。
  そういう、何もかも無の状態なお嬢さんなのに、
  自分と接して少しずつ温度が芽生えるタイプを、
  じわんと好むお人もあるんですって。』

 …エヴァのレイちゃんタイプ?
  涼宮ほにゃららにも居ましたよね、
  そういうキャラクターって。(おいおい)

ちなみに、効果というか技名は“二刀流”(大笑)で、
レアタイプは、凛々しい男装の麗人タイプになるか、
萌え袖カーディガンが似合う、含羞み少女になるかだそうな。

 『……極端な。』
 『もしかして、だから“二刀流”かなぁ。』
 『ヘイさん、ヘイさん。』


  ちっとも収拾つかないまんまですが、お後がよろしいようで。





     〜Fine〜 13.03.11.


  *先日、久し振りに神無村のお話を書いたのですが。
   シチさんが槍持って活躍する、勇ましいお姿はやはり楽しくて。
   そういうシーンのある話を書こうと思ったら、
   そのシリーズしかないのかな、
   賞金稼ぎ噺でも書けんことはないけれど…と思いつつ、

    でもでも、あれれ?

   いや待てよ、わたし結構書いてないか。
   シチさんがぶんぶんと槍の柄を振り回し、
   えいやと暴漢へ立ち向かう話…。

   ちょっとした矛盾というか、
   覚えがあるのにそれらしいシチュエーションて何処の何だっけと
   微妙な混乱を しかかったのでございますが。
   ……ええ、ええ。
   女子高生の白百合様という恰好で、
   さんざん暴れていただいてたんですね。
   そっかぁ、こっちで補完出来てたかぁ。(おいおい)


  *それはともかく。(まったくだ)
   某とれーでぃんぐかーどのCMを見ていて思いついたのが、
   三華さんたちだったらどんな属性にされるのかなってことでして。
   本末転倒なただの思いつきで書き始めたので、
   いつも以上に ぐだぐだになっちゃいました、すいません。
   画面も何だか見づらいですかね、使いこなせるお人ってすごいなぁ。

めーるふぉーむvv ご感想はこちらへvv

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